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感想 後編:映画『キャッツ』字舞・吹替・字幕 計3回@TOHOシネマズ日比谷・イオンシネマ新百合

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☆☆文中 リンクがあるものは わたくしの当時の記事またはオフィシャル記事などに飛びます☆☆
ブログの転載・転用・お断りします
☆!鑑賞レポートはすべてネタバレです!
(メモを取っていないので、間違いがあるかもしれませんが)☆


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
映画『CATS』
●字幕(試写)@TOHOシネマズ日比谷(2019年12月24日)
●吹替@イオンシネマ新百合ヶ丘(2020年1月26日)
●字幕@イオンシネマ新百合ヶ丘(2020年1月27日)

合計3回 観に行ってきました。
感想前編からの 続きです。

もう 泣けて泣けてしょうがない。
興奮が止まらないし
恍惚感と高揚で 滝泣きでした。
どこを切っても 美しい・・・

ご主人さまも言っていたけれど
ここはT.S.エリオットが生きた時代のロンドンだ。
舞踏会場面以降の舞台となっているのであろう「Egyptian」、
「Grizabella: The Glamour Cat」の歌詞にもある。
グリザベラがうろつく辺りのお店「Rising Sun」のネオンが光る。

猫たちの世界に車が入ってくる。
ゴミ捨て場に 袋が投げ込まれる。
「Overture」のラスト、
舞台版『キャッツ』の回転席がごとく 野良猫たちが 袋を取り囲み
その中から 捨てられた白猫(ヴィクトリア)が現れる!

ちゃんとヴィクトリアが
「ロンドンの街中のゴミ捨て場」
に捨てられることで、『CATS』という世界の導入になっている。

プロローグとしての
「Jellicle Songs for Jellicle Cats」
ゴミ捨て場のみならず、街や広場で歌う猫、
じゃかじゃ じゃかじゃ じゃかじゃ
っていう伴奏で 猫が飛ぶところ カッコ良すぎだし、
「Are you mean like a minx? Are you lean like a lynx? 」
の韻とか すごい好き。
歌詞にもある「PRACTICAL CAT」は
元になった詩集『OLD POSSUM'S BOOK OF PRACTICAL CATS』のタイトルの一部です。

犯罪王・マキャビティが現れたことで 他の猫が わーっと散って
取り残された よそ者のヴィクトリア。
マキャビティが言う、
「Macavity,
there's no one like Macavity,
a monster of depravity」
だいぶあとの曲(ほかの猫が歌う)である「Macavity」の歌詞を しょっぱなから自分で言って 自己紹介。(わかりやすい!)

ネオンの「Moriarty(モリアーティ)」が「Macavity(マキャビティ)」になる瞬間もある。
ご主人さま
「なんでモリアーティの看板が出てきて、それがマキャビティの顔になるのか
わかるかい?
モリアーティは
『シャーロック・ホームズシリーズ』に出てくる 架空の人物で
シャーロック・ホームズがワトソンに対し モリアーティを評して
『彼は犯罪界のナポレオンだよ』
と言う
んです。
『Macavity』の歌詞にもあるでしょう?」

The Napolean of crime!

後に出てくる「Macavity」の歌詞は
「通りで彼に会うかも、広場で彼に会うかも、でも犯罪が起こった時に マキャビティはそこにはいない」
=裏を返せば、みんな「通り」や「広場」では、マキャビティに会うんだ

ということではあるけれど、

モリアーティが架空であるように、『CATS』の世界は、なんとなく「架空」感がある。
後の「The Old Gumbie Cat」でも 「私の心の中のガンビーキャット」とか
「Old Deuteronomy」での ロンドンの霧の中から幻のように現れるオールドデュトロノミー、とか。その 夢現をさまようイメージの美しさ。「ineffable(イネファブル:言うに言われぬ、言葉にできない、言い尽くせない)」な世界。
字幕も吹替も「ineffable」について
1回だけしか意味をさらってくれないわりに 頻出するので
意味忘れちゃわない?と心配に・・・


「The Naming of Cats」では
もともとの歌詞では his になっているところが
her
になっていた。
今回、オールドデュトロノミーを オス猫からメス猫に、
さらにメス猫のヴィクトリアを主役にした
から
なのかしら。

そしてこの曲の韻だけは、やっぱり英語じゃないと出しきれない。
(「name」「game」「same」・・・や、語尾の「ter」の繰り返しとか)
日本語の吹替は 意味を正確に訳していたけれど、情報量が多くなってしまっていたので
この曲だけは字幕で 英語の音・韻を楽しむのが正解だと思います。
(※ほかの曲の韻や音は、かなり英語に近づけた訳詞でした)

「The Invitation(to the Jellicle Ball)」
ここで
「the Jellicle Choice When Old Deuteronomy
just before dawn・・・」

と、これから行われることが説明される。
はるか空の上で生まれ変わる猫を選ぶ年に一度の儀式の始まり。
「dawn」という言葉は、「Memory」でも印象的に使われていて
字幕や吹替では「夜明け」にしかならないけれど
明日へ続く明るさ、わからないことがどんどん明るみに出るイメージ。
darkの中で生きるグリザベラに 夜明けがくることが暗示されているんだと感じる。
後に出てくる新曲「The Beautiful Ghosts」にも「Memory」「dawn」という言葉が使われていたことで
よけいにグッときてしまいました!

「The Old Gumbie Cat – Jennyanydots」
始まりの、街を流れるピアノの音がキレイすぎて
落涙・・・
2番の 「Her name is」の次の「Jennyanydots」で
ネズミがコーラスで割り込んでくるところ

ご主人さまが『CATS』の中で一番好きなシーンだ、といいます。
吹替メンバーに中村茉稟さまが入っていて、ジュニアミュージカルファンとしては「おっ」と思いました。

先行した海外レビューでは、この曲のゴキブリやネズミについて
やたら気持ち悪さばかり強調されていたけれど
この曲の間奏や 心弾むリズムは絶品。
エンドロールでも使われるくらい いい曲です!

感想前編でも書いたけど、
cockroach(ゴキブリ)の行進に ジェニエニドッツが
「cocky!(ナマイキな!)」(か「cookies!(かわいこちゃん!/ケーキの飾りとしてのクッキー)」?)って言って
ぱくっと食べる(残りはケーキの飾りに)。
字幕もちゃんと「ゴキゲンに!」
って ゴキブリと かけてるのもいい。

「The Rum Tum Tugger」
学生時代、友だちに「curious」といわれ
「好奇心旺盛って意味カナ」と思いきや
「逆のことをやる(英語においてcuriousは誉め言葉ではない)」
という意味だった・・・(『Curious George(おさるのジョージ)』的な)という わたくしの黒歴史を思い出す歌詞です。

ただこの曲は、
「For he will do as he do do~♪」
の コーラスとか
ミルクバーで タガーのグルーピーとして
ずらりと並んだ 白猫の図とか
画面が楽しい!
タガ―の骨のペンダントも かわいいし
「舞台でもやっている 客席あげを
やるようで やらない あまのじゃくさ」


ラストの歌詞
「And there's no doing anything about it!」(俺をどうにかなんて、できないだろう)
に つながるのもカッコいいッ
「about~
a-bout it!!」

の 言い方も好き!

「Grizabella: The Glamour Cat」
感想前編でも書いたけど
「She flitted about the no man's land
っていう歌詞と対になるように
「Now she lives in The Waste Land
の歌詞を追加していました。
これぞT.S.エリオットの『荒地(The Waste Land)』リスペクト!
もちゃんと踏んでいる・・・!

「Bustopher Jones: The Cat About Town」
んもう
かわゆい!!大好き!!!
「バ ス ト ファー ジョ ー ン ズ!」
のコーラス 一緒にやりたい!!
(しかし会員制のクラブ=あちこちの会員制クラブのゴミ箱 なのね)

ちなみにジェームズ・コーデンさま(メガネをとったご主人さま似)
この映画以前に 『CATS』をやっています↓
『Crosswalk the Musical: Andrew Lloyd Webber Classics』

『CATS』は中盤。「もはや我々は役者ではない、猫である!」と宣言、通りがかる犬を威嚇し、パフォーマンスが終わるとミルクをぺろぺろ(映画どおり!)。それをオペラ座の怪人ばりにチェックするアンドリュー・ロイド=ウェバー先生!

さて ジェニエニドッツも バストファージョーンズも
マキャビティに「イネファブル!」と消されてしまいますが、

ご主人さま
「歌で 天上行きを競うわけで
ジェニエニドッツも バストファージョーンズも
まだ オールドデュトロノミーが来ていないのに 歌った時点で
負け
では・・・」

それはさておき、ジェニエニドッツも バストファージョーンズも
テムズ川の悪魔 グロールタイガーのもとに監禁されますが
グロールタイガーが ライム と言いつつ ごちゃごちゃ言うので
バストファージョーンズに
「韻を踏んでいないじゃないか」
ジェームズ・コーデンさまの いかにもイギリス人顔での指摘が 爆笑です。

テムズ川の悪魔 グロールタイガー
というのは、後に出てくる 劇場猫ガスが演じた役なのですが
その詳細は後ほど。

「Mungojerrie and Rumpleteazer」
個人的に、こっちバージョンじゃない曲の方が好き
ではあるのですが、
ヴィクトリアが とにかく魅力的!
ご主人さまは「階段の上で、空中で3回 足をコンコンコン!ってつける
調難易度のバレエを 軽々やってのける ヴィクトリア」に注目、
人間の家を さんざ 散らかし
しかも ヴィクトリアを置き去りにして
窓から覗く マンゴジェリー&ランプルティザーが かわいいし、
追いかけてきた ミストフェリーズの息遣い、ヴィクトリアと見つめ合う図、
宝石を色っぽく外すヴィクトリアに ドキドキ!

さて この後やっと オールドデュトロノミー登場。
演じるのは ロンドン ウエストエンド初演で
オリジナル・グリザベラになるはずだった ジュデイ・デンチさまです。
(エレン・ペイジさまグリザベラのオリジナル・ロンドン・キャスト盤 我が家も持ってます)
「Old Deuteronomy」
わたくしの一番好きな歌詞
「Well of all things can it be really Yes no ho hi oh my eye」が 英語で聴けて 恍惚。
どんどん転調を重ね
イギリス・ロンドンの霧の中から
「My mind may be wandering, but I confess」・・・私の見間違いかもしれない、そもそもが 幻かもしれないが 現れるオールドデュトロノミー。
さっきの「Gambie Cat」の歌詞の「I have a Gambie Cat in mind(私の心の中のガンビーキャット)」もそうなんですが
そもそもが この『CATS』自体、幻のような美しさがある。意味なんかいらない・・・言葉の響きを感じて メロディと音で気持ちを重ねていく美学。
「My mind may be wandering, but I confess」の部分は 字幕でも綺麗な訳詞で、字幕泣きしてしまいました。
(四季バージョンだと「Well of all things can it be really Yes no ho hi oh my eye」が「しあわせ~彼と共に 生きる喜び~」になっていて
まあ意訳すればそうだけど。。。そうではない!!!)

そしてここで ガスが ちらちらと ぼんやりと 映り込むカメラワークにも
泣いてしまいました。(ガスの目印は 指出し黒手袋!)

唯一惜しいのは、オールドデュトロノミーをメスにしたことで
9 wavesのくだり、lived many timesになってしまったのだけが惜しい!そのあとの99と かかるのに・・・
っていうか この「数字」は、1988年に観た『CATS』パンフレットでも、他のトリビアの説明で当然のように使っていたので 残してほしかった!

「The Jellicle Ball」
舞踏会は 本来ヴィクトリアの踊りで始まるのが合図ですが
今回はヴィクトリア=新入りの設定になったので
後から混ざるわけですが
ご主人さま
「そのあたり、ダンサーが めちゃくちゃ本気出して踊っていますよ。
特に
マンカストラップの ロビー・フェアチャイルドさま、
ヴィクトリアの フランチェスカ・ヘイワードさま、
スキンブルシャンクスの スティーヴン・マックレーさまの 3人(3匹?)が
バレエの技をめちゃくちゃ繰り出しています。
スキンブルシャンクスなんて 自分の曲では 遅れて来るのに
ここにはいる
んですよ」
3回観ても スキンブルシャンクスに気づきませんでしたが
先日「らららクラシック」で
自宅のTVサイズでこの場面観たら 確かにズボン姿のアイツが いました!
Ball(舞踏会)で ボールの手品をする ミストフェリーズも見逃せませんでした。

「Jellicle、とは、dear little catの幼児なまり、
という説がわかる以前は
ゼリーっぽい
という意味とされていて、
今回の つるん としたタイツは その解釈へのアンサーでは?
単純にタイツだと身体の線が出るからかもしれません」
というご主人さまの解釈も 好きです。

グリザベラの「Memory (Prelude)」
「Someone mutters
And a streetlamp gutters
を、吹替で
「街は また
もとの すがた
と、韻を完全合致させていたのには 鳥肌が立ちました。
あと、もともとの歌詞ですが、月を女性に例えて 過去の自分にも例えているの 
あらためて秀逸ですね・・・
新曲「The Beautiful Ghosts」にも「Memory」の歌詞である 「memory」「dawn」という言葉が使われていたことで
よけいにグッときてしまった!(ALWリスペクト「phantom」も!)
心にある美しいゴースト・・・

さて、「The Moments of Happiness」を挟んで交わされる オールドデュトロノミーと ヴィクトリアの会話。
「ジェリクルの選択に立ち会う?」に対しての
「I'm not Jellicle」
字幕だと「よそ者です」になってたけど、吹替はちゃんと「ジェリクルじゃない」だった。
「よそ者です」だと ラストのセリフと呼応しないので
今すぐ変えてくれ~~~ッッ

「Gus: The Theatre Cat」
ガスの衣擦れの音とか すごくいいし、
ミストフェリーズが「大ファンです」と握手しに来るところも 泣いちゃう。
本来ガスは半分くらいしか歌わない曲ですが、今回は全部自分で歌う。
本来この次に来るはずの「Growltiger」は今回カットで、
うちにあるDVD(公式が全部YOUTUBEに出している!)も カットされており、
わたくしが1989年に英語劇部(中学部活)で上演したときも カットでした。


ご主人さま「DVDのガスが 古今亭志ん生を演じたときのビートたけし様に見える。 もっと言えば『スーパージョッキー』でしょっちゅう出ていた  尾藤イサオのかかし(コマ劇場の『オズの魔法使い』)パネル
(鼻が三角で たけしの似顔絵にソックリのやつ)に似ている」と・・・

なので「カットする」という世界線があるのですが、
ご主人さまが かねてより
「一番の当たり役が『Firefrorefiddle, the Fiend of the Fell(荒地の悪魔)』であり
今、その件を歌っておきながら
『Growltiger』を見せること自体が 矛盾である」
と言っていて、
この映画では その矛盾が退治されるのです。

映画のこの先の展開について書いちゃうけど、
オールドデュトロノミーは マキャビティによってテムズ川岸に送り込まれる。
テムズ川でジェニエニドッツやバストファージョーンズを拘束している グロールタイガー(テムズ川の悪魔)

オールドデュトロノミーに対し、
「板の端っこを歩かせろ!」
ってセリフがあるけど、
『CATS』劇中劇によって、板の端っこから落ちて死ぬのって、グロールタイガーなんです。だから板の端っこは死を表す。
そんなグロールタイガーを退治するのは、この映画ではガスであり、
その時のセリフが
「Firefrorefiddle, the Fiend of the Fell!!!」
ガスが生み出したグロールタイガー、
それを ガスが最大の当たり役 Firefrorefiddleとして退治するんです。

ガス(自分)しかグロールタイガー(自分)をやっつけられないんですよ。
グロールタイガーなんて、幻(ゴースト)なんだよ。
この解釈、最高の最高!!!!!

「Skimbleshanks: The Railway Cat」
出だしの
「Skimbleshanks the railway cat
the cat of the railway train」
の 口あたり最高じゃない?
聴くだけで 楽しくなっちゃう。
そういえば、自分が1988年に『CATS』をカナダで観たときも
その前に バンクーバーからジャスパーまで 夜行列車に乗ったなあ、
と 我がメモリーも思い起こされました。

スキンブルシャンクスの スティーヴン・マックレーさまが
タップで
♪たんたかたん たんたかたん たんたかたん
と タップを踏めば
それが列車の音になる!
(ご主人さまが
ウィールドン『不思議の国のアリス』の マッドハッターのオマージュ
と 泣いちゃうところ!)

ばーっと 壁がひらけて
railwayが 現れ
その上を踊りながら ロンドンの街が見えてくるところ、
舞台ではゴミを列車にするけれど こういう映像は 映画ならでは!!
列車で ネズミが
「スキンブルシャンクスさんだ~
わー!」

と 逃げるの かわいい。
しかし スキンブルが
まさか
「電車の中で 勝手に
自分が車掌だと思い込んでいる猫」設定
なのだと聞かされたときの わたくしのショックが いまだ消えません。


「Macavity: The Mystery Cat」
テイラー・スウィフトさまの 
ボンバルリーナ
かぁああっこいいいいい!!!

一番最初に試写でこの映画を観たとき、一番シャキーンとしたシーンでした。
ご主人さま「椎名林檎さま この曲を 自分のコンサートで歌ってほしい」
確かに!!

マキャビティのマタタビで 皆動けなくなり、
「天上に行く猫は 自分を選べ」と詰め寄るマキャビティを拒絶した
オールドデュトロノミーは 消えてしまう。
テムズ川岸へ消えた デュトロノミーに乱暴しようとする
グロールタイガーの背後に
カットされた曲「Growltiger」の曲がさりげなくインストゥルメンタルでかかってるの
泣ける~~~

さて 消えたオールドデュトロノミーをマジックで出せばいいじゃない?と言われてしまったのは 気弱なミストフェリーズ。
「Mr. Mistoffelees」
皆の励まし「You can do it!」
帽子に ネズミを間違えて7匹出して
「ミストフェリーズさん?
憧れの!(my hero!)」
って ネズミがわいわい言うの かわいいよ~~
(ステージだとミストフェリーズの回転が見ものですが
あれは舞台=CGじゃない、
だから価値があるのよね)


オールドデュトロノミーは戻った。
グロールタイガーは 前述のとおり ガスの「荒地の悪魔」によって退治された。
ヴィクトリアによって促されたグリザベラによる「Memory」

another day is dawning
dawn comes
dawn is breaking
a new day will begin
a new day has begun


だんだん闇が明るくなる歌詞に沿って
グリザベラを遠巻きに見ていた猫たちの表情が 明るくなっていく・・・
舞台だとシラバスの役割であるパートは ヴィクトリアが担う。
「Memory」の後奏
ちゃんちゃ ちゃんちゃ ちゃんちゃ ちゃんちゃ
ちゃんちゃ ちゃんちゃ ちゃん
ちゃ ちゃん・・・

で グリザベラに近づく デュトロノミー、
「You are, the jellicle choice」

「The Journey to the Heaviside Layer」
ちゃんと元の歌詞にある通り ラッセルホテルを超えて昇る。
マキャビティはグリザベラの気球にくっつくけど 落ちてしまい
「イネファブル!」と悔しがる。

解放された猫たちが
「生きてたーーー!」と 喜び合うシーンは
『夜廻り猫』みたい。

最初観たとき、グリザベラ、気球じゃ落ちちゃうし
厄介払い?生贄?
と思ったけど
2回目以降、T.S.エリオットが宗教詩人であり、ALW先生が宗教音楽をわかっている人、という深層心理からの 私の見間違い(my mind maybe wondering)かもしれないけれど
一瞬だけ 光の加減で 気球の下が十字架が見える瞬間があって
天上の もっと高い層に行けることが 信じられたのです。

「The Ad-Dressing of Cats」
「キャビア」「サーモン」の歌詞で ぺろぺろする皆!
吹替だけ観たら
大竹しのぶ様が 不思議な歌い方をしている
って 思いかねない 高音と低音のミックス!
自分が『CATS』Tシャツを作るんだったら絶対ここの「So this is this and that is that」の部分なので
大音量で聴けて 満足です。
しかし「The Naming of Cats」で his を her にしたんだから
ここの his も herにしてよかったんじゃないかと思います。

その後の
「You are truely jellicle cat
dear little cat」

からの
エンドロール
INTRODUCING
Francesca Hayward

(新入りを紹介するよ、フランチェスカ・ヘイワード!)、
「Beautiful Ghosts」に乗せたキャスト名紹介は
「The naming of castと 言いたくなるし、
やさしく流れる「Memory」のインストゥルメンタルが
「Look a new day has begun」の部分で
ちゃんちゃ ちゃんちゃ ちゃんちゃ ちゃんちゃ
ちゃんちゃ ちゃんちゃ ちゃん
ちゃ ちゃん・・・


ああ・・・
イネファブル!!!

ここからは少々蛇足を。
【蛇足その1】
人は初めて観る『CATS』を親だと思う、といいますが、
わたくしの初『CATS』は、1988年トロントツアー(カナダ)、13歳の時でした。
(その年に日本でも観た気がする。なぜならその年度に学校の部活で上演したから。浅利慶太さまに許可をもらいに行ったら、当日パンフレットに激励の言葉をくれたというおぼろげな記憶が・・・
1995年頃 キャッツ・シアター 品川駅港南口でも観劇、
あと1992年にも観たような・・・でも東京でこの年にやっていた記録がない・・・???
1993年、大学1年のときにも学校の研修で観た記憶あります)

IMG_6564.jpg

時を経て2009年、久々に横浜で観て
マキャビティが過去よりもウザくなり、
他の猫の客席降り、ラム・タム・タガーのサービス(客席からダンスの相手を、というのは1988年にもあったけど)、カーテンコールの長さ、
すごく、「客である我々との距離が近すぎる」と思って 驚いてしまいました。
それが好きな人はいいと思うのだけど・・・
昔から(今はないけど)オールドデュトロノミー サイン会とか サービスはあったんだけど
ステージ自体は、猫の誇り高さ、高貴さ、ある種の近寄りがたさがあって、
猫の生き方を外から観ている視点のミュージカル、という印象があるのです。

だから今観ているお客さんと、昔のお客さんは、『CATS』自体の印象も違う気がします、あくまでわたくしの一意見ですが。

【蛇足その2】
13歳の頃、英語原詞(もとはT.S.エリオットの詩)を辞書を引いて、暗記し
その韻やリズムに うっとりしました。
四季版を初めて観たときに、
「全然意味のない言葉に 意味がついていること」
「韻(そんな踏んでいない)やリズム(1音多い箇所が たくさんある)の違い」
に、戸惑いました。物語性を重視している解釈なのだとは思いますが・・・

だからまず今回の映画で、
「意味のない言葉は、意味のないまま」(深い意味は各自が勝手に読むもの)
「韻やリズムが損なわれていない」
ことに 生理的な心地よさがあった。
口あたり、耳あたりが 自分にとっての「これだよ!」と。
吹替も、ちゃんと元の音を増やさないようにしているし、しかも極力 韻も踏んでいる。
ミュージカルって、その「音」にわざわざしているのだから
それを踏まえるのは、最高のリスペクト。

ただ、映画では吹替の情報量がすごく多くなっていたので、
だから劇団四季は意味を捉える方をとったんだな、ということも 理解しました。

【蛇足その3】
『CATS』の成り立ちについて、1988年トロント公演のパンフレットに
10cm四方の小枠(黄色部分)で 書いてあった部分、
(グリザベラのメモリーは「風の夜のラプソディー」から云々、演出トレヴァー・ナン/エリオットの奥さんの協力なしではできませんでした、byプロデューサー)
IMG_6591.jpg
ちょうど、「らららクラシック♪」で
同じことを言っていたので、メモとして置いておきます。

Most of the poems comprising OLD POSSUM'S BOOK OF PRACTICAL CATS (1939) have been set to music complete and in their originally published form; a few have been subject to a minor revision of tense or pronoun, and eight lines have been added to THE SONG OF THE JELLICLES. However, some of our lyrics, notably THE MARCHING SONG OF THE POLLICLE DOGS and the story of GRIZABELLA were discovered among the unpublished writings of Eliot. The prologue is based on ideas and incorporates lines from another unpublished poem, entitled POLLICLE DOGS AND JELLICLE CATS. Growltiger's aria is taken from an Italian translation of PRACTICAL CATS. MEMORY includes lines from and is suggested by RHAPSODY ON A WINDY NIGHT, and other poems from the Prufrock period. All other words in the show are taken from the Collected Poems. (Trevor Nunn)

THE PRODUCERS WISH TO RECORD THEIR GRATITUDE TO VALERIE ELIOT, WITHOUT WHOSE HELP AND ADVICE 'CATS' WOULD NOT HAVE BEEN POSSIBLE.

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IMG_1471.GIFエンタメ特化型情報メディア SPICEにて 
ミュージカル『アニー』についてのコラム【THE MUSICAL LOVERS】を連載中です!

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