NEW!! 2017年、アニーになりたい歴30周年!
エンタメ特化型情報メディア SPICE
【THE MUSICAL LOVERS】にて、ミュージカル『アニー』についての連載コラム
が 始まりました!
[第1回] あすは、アニーになろう
[第2回] アニーにとりつかれた者たちの"Tomorrow"(前編)
[第3回]アニーにとりつかれた者たちの"Tomorrow"(後編)
[第4回]『アニー』がいた世界~1933年のアメリカ合衆国~ <その1>フーバービル
[第5回]『アニー』がいた世界~1933年のアメリカ合衆国~ <その2>閣僚はモブキャラにあらず!
[第6回]アニーの情報戦略
[第7回]『アニー』に「Tomorrow」はなかった?
[第8回]オープニングナンバーは●●●だった!
[第9回]祝・復活 フーバービル! 新演出になったミュージカル『アニー』ゲネプロレポート
[第10回]『アニー』がいた世界~1933年のアメリカ合衆国~ <その3>ラヂオの時間
[第11回]『アニー』がいた世界~1933年のアメリカ合衆国~ <その4>飢えた人々を救え!
[第12回]『アニー』がいた世界~1933年のアメリカ合衆国~ <その5>ウォーバックスにモデルがいた?
[第13回]ブラックすぎる!? 孤児院の実態 7/11 NEW!!
以降は「ウォーバックスさんの財力」等を取り上げる予定です。
よろしくお願いいたします!
☆!ブログの無断転載・転用・お断りします!☆
☆☆文中 リンクがあるものは わたくしの当時の記事またはオフィシャル記事などに飛びます☆☆
☆!鑑賞レポートはすべてネタバレです!
(メモを取っていないので、間違いがあるかもしれませんが)☆
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ダイワハウスpresents
ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』
初日に 行ってきました。
(エリオット・ハンナさまビリーの 『ビリー・エリオット ミュージカルライブ』の感想は こちら
ビリーと同じ時期を描いた 映画『パレードへようこそ』の感想は こちら)
本当は9月に行こうと思っていたのですが
プレビューの評判や プレスコール映像を見て いてもたってもいられず
直前に チケットサイトをチェック、
自分的良席があったので
思わず ポチリ・・・
もう リトル・ボーイ(菊井凛人さま)が
舞台によじのぼって
1984年のイギリスの映像を見るだけで 泣いちゃうし solidarity forever...
(ちなみに 『アニー』2012年リバイバル版でも、
オープニングで 当時の映像とフーバービルの説明が流れる演出、ありました)
炭鉱夫たちのまわりで
キッズが わいわい 駆け回っているだけで
はやくも 涙・・・
「The Stars Look Down」で
ビッグ・デイヴィ(辰巳智秋さま)が 点呼帳を つけているだけでも
感動してしまう わたくしです。
「SAVE OUR COMMUNITY」(われらのコミュニティを守れ)の 横断幕と
「CLOSE A PIT
KILL A VILLAGE」(炭鉱を閉じれば村は滅びる)
「UNITED WE STAND,
DIVIDED WE FALL IN THE END!!」(団結すれば立ち、分裂すれば結局は倒れる)の
プラカードだけで 泣いちゃう わたくし・・・
映画『パレードへようこそ』でおなじみの
「COAL
NOT DOLE」(失業手当ではなく石炭を)も あったかしら なかったかしら?
ちなみにプラカードは全て英語で、
ばあちゃん(久野綾希子さま)が聴くラジオのサッチャー声も 英語のままでした。
腐ったミートパイを探す ボケたおばあちゃん。
ビキニエプロン姿の 父ちゃん(吉田鋼太郎さま)の作る朝食が
しょぼい うすっぺらい黒パン(それすらも 炭鉱夫仲間に たかられてしまう・・・)。
『パレードへようこそ』 でも あったように
人は パン(Bread)だけでは 生きられなくて
自分の信念(Roses)が ないと 生きられない。
その信念とは何か?
父ちゃんと兄ちゃん(藤岡正明さま)にとっては 今のところ 炭鉱であり
ビリー(前田晴翔さま)にとっては まだ 見つかっていない。
スト中で収入のない父ちゃんが 出してくれる
ボクシングのレッスン代 50ペンス。(『花子とアン』的 九州の炭鉱夫感いっぱい!)
ビリーは ボクシングに全くやる気がない。
コーチ(小林正寛さま)の「お前はモハメド・アリで
お前はカシアス・マーセラス・クレイ・ジュニアだ」
の 同一人物ギャグに 観客のキッズ
『アニー』の「ハーポ・マルクスから電話」のシーンくらい ぽか~ん。。
この場で、「クソックソッ」言いながら 腕立てして
自分より大きいレッスン袋を抱える スモール・ボーイときたら!
スモール・ボーイ、オープニングの曲で ビリーの後ろでマネしようとしているところも 大好きです。
遅刻したビリーが 施設の鍵を
ここで次にレッスンするバレエのウィルキンソン先生(柚希礼音さま)に渡そうとして
バレエに巻き込まれる。
トレイシーのパイが こぼれちゃわないか つい見ちゃうなぁ~~~
「Shine」では
バレエガールズ(チームベッドリントン:遠藤美緒さま、大久保妃織さま、佐々木佳音さま、高畠美野さま、新里藍那さま)
は お互いや ビリーを
「へたくそ!」
って つっつきながら
はちゃめちゃ わーっと 踊る。
それでも
あるときは ひとりひとりに指導する先生。
そして「いいわよ~」と 声をかけてくれる。
どんな子でもいい
できなくたっていい
そんな 楽しいシーンなのに
めっちゃくちゃ 嗚咽・・・
ちゃんと見ている、肯定している先生。
へたくそでも 誰もが 輝く。
わたくしは
踊りができなかった子どもだったから
「踊りって
ひとりひとり 身体つきや バックグラウンドも違うのに
均一に揃っている必要なんか あるんだろうか」
って ずっとずっと思ってた。
「違っていて当然で 揃わなくたって輝けばいい」
というのは わたくしの子ども時代への救いだ!
ウィルキンソン先生に出会って 楽しく踊りたかった。
少しでも いいよと言ってもらって 笑顔になりたかった。
どさくさで 一番輝く 図太いウィルキンソン先生、
先生の乗った荷台をしゅこ しゅこと ポンプする
専属ピアノ弾き(森山大輔さま)!
そして、舞台では
踊るビリーの 影が
壁にちゃんと 大きく映る演出もいい。
うっかりバレエをして遅くなっちゃったから
「父ちゃんには言わないでほしい」と
生協のミートパイを ばあちゃんに差し出すビリー。
男尊女卑で、男が威張っている炭鉱。
「Grandma's Song」で ばあちゃんが
次は「誰かの奥さん」ではない生き方をしたい、と
楽しそうに踊る。
(これが カーテンコールの チュチュ姿のばあちゃんに
つながるんだね・・・!)
なんだかんだで また バレエのレッスンに
行くビリー。
それでいてバレエやウィルキンソン先生をバカにした口ぶりに
ウィルキンソン先生の娘・デビー(香好さま)が
「あんたのママがそう言われたらどんな気持ち?」
ビリー「母ちゃんは死んだ」
デビー「「えっ」
そして バレエレッスンから
警察の 不当逮捕がまかりとおっていた時代の
「Solidarity」
♪それなりに それなりに
♪それなりに フォーエバー
で おなじみの
solidarity forever
とは
『パレードへようこそ』でも おなじみのフレーズ。
ここで バレエガールズと 炭鉱夫vs.警官隊が
交差してゆくなか、
ビリーが ウィルキンソン先生に
1人だけ呼ばれて
徐々に うまくなってゆく。
ワンツースリーフォー ファイブシックスセブンエイト!
ワンツースリーフォー ファイブシックスセブンエイト!
バレエガールズの甲高い声が 気持ちいい。
ここで ボクシングのコーチから
ビリーがもう4週間レッスンに来ていないことを 聞いてしまう父ちゃん。
(コーチが父ちゃんに「うちも週50ペンスないと キツイとよ
それが4週間」って言うんだっけ?
「お前の家はキツイんか 50ペンス出せないんか 4週間」って 言うんだっけ?)
それを聞いたあと ビシッと踊りが決まったビリーの鼻先に
父ちゃんがいる絵!
健康によかろうが なんだろうが
「こげなもん!」(C:『花子とアン』)
とばかりに 「男らしくない」バレエを否定する父ちゃん。
だけど先生はビリーに
「あなたは上手いから
個人レッスンをつけてみたいと思うけど」と 提案すると
それに対して
「・・・先生、ぼくに気があるんですか?」と 言っちゃうビリー 大好き!
悩む ビリーが マイケル(持田唯颯さま)に相談にゆくと
マイケルは 女物の服で お出迎え。
驚くビリーに「うちの父ちゃんも いつもやってる」
その マイケルによる
「Expressing Yourself」 シャー!
♪自分を表現して なにが 悪いの
♪誰も死なない 気にしない
♪ほっといてよ 僕のコトを
♪あんたのことも ほっといてやるから!(このフレーズ 大好き!)
マイケルの
「ドレスと ダンス!」(巨大なドレスそのものになってタップしている方たち 熱中症 大丈夫?)
「遅いぞ ビリー」
「俺の ドレスだ~」等のセリフも キュートなのだけど
曲のラスト、
マイケルが
小首を かしげながら
電気を カチッ
と 消す しぐさ
ズキューン!!!
か
かわいい~~!!!
さて、個人レッスンにあたり ビリーは
「なにか自分がわかるものを持って来て」と言われた。
ダンスはその人自身を表現することだから。
ビリーが スープとか ルービック・キューブとかと
一緒に持って来た 手紙。
それは 母ちゃん(家塚敦子さま)から。
「18になったら読んでいいって言われたけど
何年か先に 読んじゃった」
ウィルキンソン先生が 声に出して読む
「The Letter (Mum's Letter)」
叱ること、あなたの笑顔を見ること、
そんなちょっとした
したかったことが できなかったという内容の中で
「家族になれて 誇らしい」
うっわー!!
Proud that you were mine
Proud in everything
の部分が ここに 全部入っている!
家族=まるごと肯定してくれる 母ちゃんの優しさ。
Love you forever
Love you forever
を「いつまでも いつまでも」と Loveの要素が入ってなくても
「愛している」ことが
じゅうぶん過ぎるほど 伝わる。
ウィルキンソン先生が「特別な女性だったのね」と言って
ビリーが返す
「ううん、
ただの僕の 母ちゃん」
が もう・・・(泣)
この歌詞の
「Always be yourself」(あなたらしく生きて)
自分らしく。
『ひよっこ』視聴者のわたくし、
「貧乏でもいい 自分らしく生きられれば」と言っていた島谷が
即 退場になり
貧困で、自分らしくいられない みね子
のことまで 思い出してしまったし
のちの「母ちゃんだったら オーディションに行かせてくれた」って
ビリーがハッキリ言える根拠。
そして ウィルキンソン先生による 個人レッスン。
「Born to Boogie」
専属ピアノ弾きさまの ぷにゅぷにゅとした肉体と オタク知識よ!
それにしても
あの 縄跳びしながらのタップ どうやってるの~~~!!!
&
ピアノ(?)の上から 回転しながら 逆さにジャンプして
着地するビリーよ!!
そしてレッスン後
ビリーのトイレをのぞかんかな な 勢いの デビー、
そして「私のアソコ
見たい?」って・・・ 大胆////
さて、ビリーは
自分を縛っている数々(自分自身の心を含めて)を解き放って 自由になることが
できるのか。
ビリーが 王立バレエ学校オーディションを控えて
ウィルキンソン先生に
ふむぎゅっ
と 抱きつくところで
デビーの声だけが聞こえる。
ママ―!
ママ―!
ビリーを抱きしめ返す ウィルキンソン先生。
一瞬だけの お母さん。
だけど本当は デビーのお母さん。。。
王立バレエ学校オーディション当日。
待ち合わせの時間より寝坊してしまったビリー。
家には
警官隊との衝突が激しくなって けがをした兄ちゃんと、
兄ちゃんを運んできた仲間たち。
危険だから、ビリーは家にいろと言われて 外出できない。
そこへ怒って入って来る ウィルキンソン先生。
オーディションのことはもちろん、まだバレエを続けていたことすら内緒だった。
ビリー「言わないでよ、お願い・・・!」
ウィルキンソン先生「いいえ、ビリー
いつかは言わなきゃ」
兄ちゃんの「炭鉱の福利施設で ちっぽけなバレエを」に対して
ウィルキンソン先生「あなたたちだって 私が何週間も個人レッスンをつけてきたことを
知らなかった」
と 変化に気づけなかったことを 責める。
兄ちゃんに囃し立てられて 踊ってみろよと
悪意いっぱいに言われる ビリー。
帰ってしまう ウィルキンソン先生。
ビリー「母ちゃんだったら 行かせてくれた」
父ちゃん「母ちゃんは死んだ!」
ああああああああああ!!!!
警官隊と 衝突しながらの
「Angry Dance」、
この曲に 突然
「Swan Lake」が入ってくる 美よ!
そして
あんなに踊って 踊って 踊って
すくっと 立って
退場する ビリー~~~~!!!
(それにしても、ビリー、
靴の段取りが多くて 大変だなぁ・・・)
第二幕は
この重苦しさから うってかわって
(といっても ビリーは うつむき加減で
・・・というか いつもどこか さみしいように見えるのだ)
兄ちゃんの ピーターパンだか カエルみたいな 服装。
しぶしぶ付き合っている感の ビリー。
皆の後ろでお人形と遊んでいる マイケル。
「Merry Christmas, Maggie Thatcher」
で
客席の手拍子が ちゃんと 裏打ちになってて ホッ。
ビリーが父ちゃんと仲直りしているのも 地味に嬉しい。
女の子たちによる ハイスピードの
「My Darling Clementine」
が 挿入される。
炭鉱夫たちが人形劇を やっている その人形の糸は
上から 大きなサッチャー人形が 操っている
という 皮肉な風刺。
そこからの 父ちゃんの
「Deep Into the Ground」、
「俺には息子がいた」のところの 兄ちゃんの
ほこらしげな 優しい視線。
15歳で 炭鉱に入った父ちゃん。
パーティーの帰り、
ビリーが
マイケルの勝ち取った人形にビールを飲ませるところも かわゆすぎるし
マイケルが ビリーに チュチュを着ていいと言われて
「いいのか~~?!」
と ばあああっとするところ 最高だし
「くるみ割り(nutcracker)」の ダブルミーニングギャグ 健在だし
「ここ 寒いな」
って マイケルが 自分の胸に ビリーの手を持ってくるところは
ドキドキだし・・・
マイケル「黙っててくれちゃ」
マイケルが男の子を好きなことも、たぶんビリーを好きなことも。
マイケルに チュチュをあげたら
そのまま着て帰っちゃう マイケル。
誰もいなくなった パーティーのぬけがらの場所で
「Swan Lake」
を 踊るビリー。
椅子を くるくるくる~っと回すと
オールダ―・ビリー(栗山 廉さま)が 現れて
フライングをしながら 一緒に踊るシーンの 夢のような美しさ!
第一幕で バレエが見つかっちゃったとき同様
踊り終わった瞬間 鼻先にいる 父ちゃん。
でもこのときの父ちゃんは違う。
ウィルキンソン先生の自宅(ベル音が「Swan Lake」!)
を 訪ねて
「いくらかかるとね・・・!」
雪の降るなか、外で話す2人。
(背後から聞こえる デビーの
ママー!
ママ―!
の 声が 第一幕に引き続き
ビリーにかかりっきりのママへの抵抗を感じ 哀しい・・・)
オーディションに行かせなかったこと、
ビリーの気持ちを わかってやれなかったこと、
もうこの町に希望はないこと、
このままでは貧困の連鎖しかないこと、
それが滲み出る 父ちゃんの
「He Could Be a Star」
俺にしかできないこと
どんなことをしてでも・・・
わたくし
『ビリー・エリオット ミュージカルライブ』
2日連続観て ブルーレイも買ったというのに
どういうわけか 父ちゃん スト破りしてないと 思い込んでいました。
スト破り したんだ・・・!
父ちゃんへの 兄ちゃんの
「・・・!」という 驚き、
「親父やめてくれよ・・・!」
が 悲痛すぎる。
ビリーばかりが息子じゃないのに・・・
だけど、父ちゃんは
行ける 輝ける
チャンスを与えたいんだ
と 訴える。(音符無視!)
兄ちゃんは それを 受けいれられなかったけれど
炭鉱夫仲間は「これも」「これも」
と なけなしの小銭を はたいてくれる。
リトル・ボーイまでも
いっちょまえに・・・!
「俺たちは、この子を見捨てない」
という気持ちが ものすごく詰まった
この感動的な行為、
みんなが 集まっている場所の
「LABOUR ISN'T WORKING」(労働党は役立たず/労働者は働いていない)の ポスターみたいに
その小銭が 役立たずというか
まさかの 全然足りないところが 素晴らしい。
ここで「集まった!ありがとう」という美談なんかにならない
全力で応援したって その善意はバス代にもならない
そんな 現実のシビアさ。
(うつむいて みんなから募金をもらっているビリー 切ない・・・)
そこへやって来る 裏切者の スト破り。
ビリーにお札を どっさりくれる。
兄ちゃんは 拒んで 殴って
お金を散らすけれど
地べたに這いつくばって 拾うビリー
「何百ポンドもあるよ!
これで全部払える。
ねえ、もらってもいい?」
(ああ。。。ちょっと話は違うけど『パレードへようこそ』だって
真面目というか 保守的で 何もしなかった人たちが
“Pits and Perverts”に対して
「遊んでいた」と 裏切者に言うように侮辱したけれど
その「遊んでいた」彼らが集めた募金額が 一番大きかったよね。。。)
スト破りのおかげで ロンドンのオーディションを受けられる。
でも来ている子は 上流っぽい子ばかり。
ざぁますオバさんに 話しかけられて
「こういうの 初めてですたい
どうしたらいいか わからんとよ」って あわあわする 父ちゃん Cawaii!
そして 案内係(三木麻衣子さま)に
「まあ 炭鉱夫~」と
たくましさを ちやほやされる 父ちゃんよ!
肝心のオーディションは
ポーズを 断片的に 見るもので
驚くことに 踊りの審査は ない。
ビリー
「ねえ、本当にぼくの踊り、見なくていいんですか?」
その間 父ちゃん、
訛りのあるダンサーに はめられて
禁煙場所で タバコ吸っちゃって 叱られて
そのタバコ 案内係が ぷか~~っと吸うところ 好き~~~ッ
ビリーは 上流っぽい子(笹川幹太さま)に
「踊りの審査なんかなくても
身体つきを見れば わかるのさ」とか 言われて
彼を殴っちゃう。
そして 面接。
(あれっ ビリー
お金のお茶筒 抱えてますかね?
「お札は スト破りから もらいました」
とか
カセットテープを巻き戻すシーン
が なかったような。。。
そのかわり 暴力行為に関するお咎めがあったけど)
「質問は ありませんか」と 言われて
父ちゃんに 長々耳打ちしたのに
父ちゃん「ありません」
全然うまくいかなくて 帰りたいビリー、
最後に 聞かれる。
「ねえビリー、踊っているときは
どんな気持ちになるんですか?」
ついに 来た
「Electricity」!
ここ、訳詞の高橋亜子さまが
・「Electricity」という言葉の裏には「石炭」がある
・石炭が電気を生んだ
・「石炭と電気」で「過去と未来(時代変遷)」もあらわしている
と ツイート なさっていて、
蘊蓄大好きな わたくしが スパーク!
石炭が電気を生んだ、炭鉱の町がビリーを生んだ、炭鉱夫たちがビリーを育てた・・・
(そしてパンフレットによると あれって振付:ウィルキンソン先生という設定なんですって!)
「ぼくは もう 自由!」
ビリーが 心のまま 踊って
体力の限界みたいなところで さらに歌って
終わりかと思えば ここから さらに踊って(しかも こんな劇の終盤で)
燃え尽きんばかりに 見せる。
自分とは何なのか
踊りは自分自身だ
ということが
わたくしたちの胸にも 理屈なく飛び込んで来る。
合否通知を待つ ビリーの一家。
兄ちゃんが あの ビキニエプロン着けてるんだけど
あれ 世襲 なんですか?
そして 待ちに待った通知。
ビリー「エリオット・・・カマ(queer)?」
父ちゃん「サマ(esquire)!」
さっすが!(翻訳:常田景子さま)
合格したのに していないと 嘘をつき
兄ちゃんに ぐりぐりされる ビリー。
ビリーはウィルキンソン先生に 報告にゆく。
(バレエガールズの
「きゃ~~
これにサインして~~」の スターを見るような はしゃぎよう
と むくれる デビー!)
ウィルキンソン先生
「これからは、
ここで覚えたことを忘れるための5年間。
でも、それでいいんだ そういうもんなんよ」
ビリー
「違うんだ
自分にしてくれたこと全てに感謝してる。
帰って来るたび 必ず 会いに来る」
旅立つため 荷造りする ビリー。
炭鉱夫たちの「Once We Were Kings」が かかる。
炭鉱夫たちは また 暗い地面に降りてゆく。
父ちゃんに おようふくのたたみかたを習う ビリー。
「ここはみんなが仕事がなくなっている。
次にお前が帰って来たときは みんな失業してるだろうよ」
「みんながみんな、バレエ・ダンサーになれるわけじゃなかとよ・・・!」
って 言ってた兄ちゃんが
ビリーに 笑顔で 炭鉱のライトをくれるところ
最高じゃないですか?
ヘッドライトをつけて ガシャーンと
炭鉱夫たちは 地下に沈んだ。
ビリーたったひとりを 地上に残して。
荷造りを終えると
母ちゃんが 現れる。
ビリーが 母ちゃんの手紙への 返事を歌う
「The Letter (Billy's Reply)」
ビリー「また会える?」
母ちゃん「ううん、会えんと思うよ」
ビリーも、「そうだと思う」と
この家から去ったら見えないことが わかってる。
ここも すごい。
「会えるわよ どこにいたって」みたいな 陳腐なセリフじゃない。
成長のために 捨てていい、
勇気をもって この閉塞感から 出てゆきなさい
という 深い深い愛情。
寂しさを背負って
厳しいレッスンに 耐えなきゃいけない
まだほんの子どもの ビリー。
ウィルキンソン先生も、成長のために
捨てていいのだと言った。
それが大人が 未来ある子どもにできること。
だけれども
舞台では描かれないけれど、
パンフレットの木村正人さまの解説によれば
旧炭鉱町は失業者にあふれ
町の若者は、犯罪・アルコール・薬物に逃避したという・・・
この土地から解放されたのは ビリーだけだけど
この先のビリーの学費って どうしたんだろう・・・
舞台から客席に降りて
この土地から 立ち去る ビリーに
後ろからの声。
「おい、
ダンス小僧!!」
マイケル~~~!
たたたっと 戻ったビリーが
マイケルのほっぺに キスをする。
またな、という いつものあいさつで
幕!
カーテンコールは
とびっきりの 「Finale」!
炭鉱夫たちの チュチュ、
父ちゃん兄ちゃんばあちゃんの チュチュ、
この 多幸感!!
(あの踊り なにげに 段取り多いですよね しゅごい)
ウィルキンソン先生の
「ライト!」とか
♪ちゃららららら
らららら~
♪ちゃららららら
らららら~
の 音楽も アガる。
終演後 まったく踊れない自分でさえ
踊り出したくなってしまう。
初日だったので 全キャスト大集合の場面もあり
トクしました!
初日のビリー・前田晴翔さまは
アメリカ育ちで
このオーディションを 受けたくて
日本へ やって来た。
なんと日本語もできなかったそうで それも乗り越えた。
ああ、人には それぞれにストーリーがあるんだなぁ。
それがそれぞれの深みに なるんだろうなぁ。
5人全員の ビリーが 観たいよ。
それにしても
器械体操、バレエ、タップ、コンテンポラリー、演技、歌 などなど
1年以上かけて育成したというけど
逆に 1年でここまで できるなんて。
ビリーたちは これら全部は 最初、誰一人できなかった(とくにタップは全員未経験)
というけれど、やれば育つ子を選んだ、といいます。
(あれっ ビリーが言われてた「身体を見ればわかる」って ある意味 本当なんだ・・・)
ビリーが母ちゃんから託される言葉
「自分らしく」
自分らしく、ということは
気ままに その場の快楽にのって
遊んで暮らすことではない。
自分らしくビリーを表現するには
苦手の克服も、新しい技術も、自分だけの魅力も必要で
ミュージカル俳優ではない三浦春馬さまの『キンキーブーツ』のときも 思ったけれど
ずっと舞台をやってきたわけではない人が
ここまで行ける、ということは
くやしさや葛藤や 苦しみもあっただろうに
自分の目標のために
決して腐らずに努力できること、それが才能なんだ。
本当に「ありのまま」では
自分らしく 自由に生きる=欲しい役を手にするなんて できやしない。
わたくしは 観劇日、
前日に夜中4時半まで 家のエアコン水漏れトラブルで あんま寝ていなくて
疲れてたから 大丈夫かなと思ったけれど
もう、時間が経つのが あっという間で。
逆に 心が 修復された気がした。
(そうそう、心といえば イギリスのプロダクションって
よく メンタル担当が いるけれど
きっとこのチームにも いるんだろうね。)
舞台を観るって
泣いたり笑ったりして 自分の心が修復されて 元気になる。
現実だけだったら つらすぎるから
生命あふれるステージ・エンタメが あるんだね。
ときに
この長いプロジェクトを実現させた 堀社長のお言葉
「おじさんを劇場へ」
とても素晴らしい言葉で 共感するけれど
ミュージカルは 貧困や親無しを扱うものが多いわりに
(『アニー』・『レ・ミゼラブル』・『ミス・サイゴン』・『オリバー!』などなどもそう)
「本当に 今日50ペンス出せない人」には 届かない。
毎日500円の昼食代で がんばるおじさんが
ましてや 子どものいる 父ちゃんたちが
自分のために 13500円 捻出できるだろうか。
50ペンスを出すのがやっとの炭鉱夫と
同じなんじゃないだろうか。
ここは ひとつ『ビリー・エリオット』の営業さんは
各会社の総務や労働組合と 団結(solidarity)して
福利厚生で
この作品を おすすめしては いかがでしょうか。
(開演時間的にも 会社で行く、というふうにしないと 間に合わないもんね)
社会と演劇は お互いのために 団結するときだ!
solidarity solidarity
solidarity forever!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』(前田ビリー)@赤坂ACTシアター
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