NEW!! 2017年、アニーになりたい歴30周年!
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【THE MUSICAL LOVERS】にて、ミュージカル『アニー』についての連載コラム
が 始まりました!
[第1回] あすは、アニーになろう
[第2回] アニーにとりつかれた者たちの"Tomorrow"(前編)
[第3回]アニーにとりつかれた者たちの"Tomorrow"(後編)
[第4回]『アニー』がいた世界~1933年のアメリカ合衆国~ <その1>フーバービル
[第5回]『アニー』がいた世界~1933年のアメリカ合衆国~ <その2>閣僚はモブキャラにあらず!
[第6回]アニーの情報戦略
[第7回]『アニー』に「Tomorrow」はなかった?
[第8回]オープニングナンバーは●●●だった!
[第9回]祝・復活 フーバービル! 新演出になったミュージカル『アニー』ゲネプロレポート
[第10回]『アニー』がいた世界~1933年のアメリカ合衆国~ <その3>ラヂオの時間
[第11回]『アニー』がいた世界~1933年のアメリカ合衆国~ <その4>飢えた人々を救え!
[第12回]『アニー』がいた世界~1933年のアメリカ合衆国~ <その5>ウォーバックスにモデルがいた?
[第13回]ブラックすぎる!? 孤児院の実態 7/11 NEW!!
以降は「ウォーバックスさんの財力」等を取り上げる予定です。
よろしくお願いいたします!
☆!ブログの無断転載・転用・お断りします!☆
☆☆文中 リンクがあるものは わたくしの当時の記事またはオフィシャル記事などに飛びます☆☆
☆!鑑賞レポートはすべてネタバレです!
(メモを取っていないので、間違いがあるかもしれませんが)☆
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日本芸術専門学校 山王ヒルズホールへ
日本芸術学園 Production of
『FAME JR. THE MUSICAL』
初日 ☆組を観に行ってきました。
1980年公開映画『FAME』の舞台化の スクール用
オフィシャル・コンパクト版(パンフレット 山田和也先生のコメントより)。
それを芸術専門学校の生徒が演じるという リアルさも 魅力ながら
パンフを見れば
翻訳:高橋亜子/演出:山田和也/音楽監督:玉麻尚一/振付:原田薫/制作:田窪桜子 (敬称略)
名前を見れば 知っている FAMEなプロの方ばかり!
さらには 生演奏
という 贅沢さ!
山田先生のコメントいわく
この『FAME JR. THE MUSICAL』は 映画『FAME』に出てくる
ハイスクール・オブ・パフォーミング・アーツの
最後の4年間の話なのだそうです(はやくも 泣ける)。
映画公開(1980年)の4年後に他校と合併。
でも、「映画の影響で、学校の知名度も上がった」という話は
劇中でも出てきたし、
4000名以上が受験して 受かるのは97人という
『アニー』子役なみの 競争率=人気
なのに 単独では運営できないだなんて・・・
「ハイスクール」・オブ・パフォーミング・アーツというだけあって
「高校」ですが アメリカでは中3~高校生。
そういえば わが母校も 中3から高校生ですわ。(大学にパフォーミング・アーツ専攻もあるよ!)
わたくしは 中学時代 英語劇部(ミュージカル部)に 所属しており
そのときの 声出しが
『アニー』より:「Tomorrow」
『FAME』より:「I Sing the Body Electric」
『コーラスライン』より:「What I Did For Love」
どれも、まだ 何者でもない
自分の欲しいものを掴みにゆく物語。(『アニー』だって、そうですよ~!→ご参照:[第6回]アニーの情報戦略)
もし あなたの夢が 叶わなかったら?
それでも 絶対に 後悔しない
忘れない 大好きなものに ささげた日々を。
わたくしは、自分に
舞台に立つ才能がないって 中学生の頃 早々に気づいちゃったけれど(ご参照:[『アニー』連載第1回] あすは、アニーになろう)
それでも舞台に魅了され続けているから、
舞台でスポットライトを浴びたい人たちの話には どうしても 弱いのです。
わたくしの話は さておき・・・
芸術学校のイメージって 『FAME』の映画で
作られた
といっても いいのでは ないでしょうか。
映画『LA LA LAND』の37年前から やってる
トラフィック・ダンス
さて、『FAME JR. THE MUSICAL』本編。
FAME(名声)を得たいのは 皆そうなのだけれども
最初のダンス&歌のシーンから ひときわ目立つ女性がいる。
それは カルメン(松山純菜さま)。
凛々しく 堂々と
「FAME(Remember My Name)」の曲で センターをとります。
自信まんまんな カルメン。
自分はまだ未熟なのだともわからず
「『ウェスト・サイド・ストーリー』のオーディションを受けるから
授業を休めるかしら」
そんな スタンドプレイの彼女だけど
音楽専攻の バイオリニスト・シュロモ(松永涼吾さま)の
ピアノにひかれる。
バイオリンが専攻だから ピアノを練習しているだけと謙遜する
彼のつくった曲に 詞を書いてきた。
映画のこのシーン 思い出しちゃう
よね~
カルメンは シュロモたちのバンドに入った。
そうそう、バンドといえば
ドラムが得意な グレース(荒川玲和さま)、ダンスでもすごく 輝いていた!
いつも堂々と 自分を出し 名声へのチャンスを渇望する
ギラギラしたカルメンとは対照的に
最初は自信なさげな セリナ(森莉那さま)。
すでに セミプロとして CMに出ているニック(鯨井未呼斗さま)に
サインをもらおうとしたり
ずっと もらった写真を持ち歩いたり・・・
それを気づかれ、距離をおかれてしまう。
(この舞台ではわからなかったけれど、ニックはゲイ設定では?)
だけど、ニックに迷惑だとわかったら
セリナはちゃんと 自分の演技に邁進し、地味に実力をつけてゆくんだよね。
引っ込み思案のようでいて 自分をしっかり持っている セリナ。
それは のちのち 実を結びます。
ダンス専攻では 才能豊かなダンサーの
タイロン(新垣ケビンさま)が とにかく目立っている。
古いダンスには反発し、その才能をみせつけるタイロン。
だけど、本当はディスレクシアの彼。
それゆえに「勉強」が できないのだ
と 思われている。(2015年公開の『ANNIE』も、アニーがディスレクシアだった!)
2人の先生は タイロンを伸ばそうと思っている。
その方法が 対照的だ。
ひとりの先生は 彼に教師として情熱を傾け
「才能があるんだから 勉強なんていいじゃない」と かばい、
他の先生にも かけあってもらっている。
もうひとりの先生は
「本を読めれば 表現する世界も広がる」
そう、そうなんだよ。
もちろん、自分で考えて、身体を動かせて、体験できるほうが 重要なのだけれど
脳内の拡がりだって、表現者として重要。
「契約書に名前さえ書ければいい」という 情熱ある先生。
だけど、
そもそも文字が読めなかったら
どんな契約をさせられるか、わからないじゃないか!
甘い言葉にだまされて
自分にとって不利な契約を結ばされては どうにもならない。
そう、のちのカルメンのように・・・
先生の口からは
「この学校の中で 名声を手にできるのは、ほんの一握り」
だから、ちゃんと勉強も必要だと言う。
だけれども 自分はその一握りになれると 信じて
あえて逃げ場のない 芸術の専門学校を選んだ彼らを わたくしは尊敬する。
愛することに真正面から取り組まないほうが 悔いてしまうという
覚悟と意志を持っている。
ダンス専攻には
貧乏でシューズを買うのもやっとだけれど
ダンスはものすごく上手い アイリス(粕谷風雅さま)がいる。
お金持ちに思われている彼女の 苦しそうな生活の吐露に反して
踊っているときの 嬉しそうな顔ときたら!
そして ダンス専攻の 異端児?的な
ちょいぽちゃの メイベル(相原桃香さま)。
桃の香りではなく プリンの香りにさそわれて ふらふらな メイベル。
ダイエットに失敗しっぱなし、
「ギャラが安いダンサーなんかやめて
演劇科に転向する!」
ちょ、演劇科だからって 食べ物に制限がないわけじゃ ないのよ~~
シェイクスピアなんか嫌いで せっかくのロミオ役を降りちゃう
声も態度もうるさい ジョー(山本大貴さま はまりすぎ!)。
その役が ほしくてほしくて 選ばれなかった子もいるのに
得られる人は「自分には合わないから」って あげてしまえる、そんな余裕・・・
シェイクスピアおたくのニックがお手本をみせて ニックがロミオ役を得る。
ジュリエットは セリナ。
そう、セリナは主演を勝ち取っているのです。
セリナとニック ひさびさの向き合い。役の上では、彼らは恋人・・・
「私たち、舞台の上では恋人で
舞台を降りたら、友だちでいましょうね」
と 言えたセリナ!(わたくしが 涙)
そして
タイロンは、できないことを許してくれるという特別扱いよりも
自分の可能性が拡がる補講を受け、
本を読めるという喜びに目覚める。
とぎれとぎれの 本の朗読が 胸を打つ。
「留年することにした」というタイロンの目は 輝いていた。
そうか、
わたくしは 中学・高校の部活で挫折し、
真剣にプロ俳優を目指さなかったから わからなかった。
CMに出ている子
天才バイオリニストの父を持つ子
天賦の才能がある、家庭が恵まれている
そんな スタートがそもそも違う子も
コンプレックスを 持っているんだ。
「笑顔は簡単だけど 悲しい顔はできないの」
中学時代、お金持ちで才能もある 主役の子に言われた。
「英語劇も一所懸命やれば、できるよ、きっと」
一所懸命にやっても 先輩から言われ続けた。
だけど 誰だって たとえ天才にだって
乗り越えなければならない壁はある。
壁を乗り越えるには 登り続けるしかない。
この舞台、いわゆる「アンサンブル」
と呼ばれる子たちの表情がまた 良かったのです。
ミュージカルが好きな気持ちで
全身全霊で舞台を盛り立てていた。
全員が 本番に向かって 登り続けたんだね!
そして 彼らの卒業式
・・・の前に ロサンゼルスのプロモーターに誘われて 学校をやめてしまったカルメンは
地下鉄に身を投げて 死んでしまった。
(客席全員 カルメンに「ぜーったいに だまされてるよ・・・!」って テレパシー送ってたのに!)
その知らせからの 卒業式。
セリナが言う。
「私、感電しちゃうかもしれない!」
わたくしの脳内music:
(この曲を使っていたわけじゃ ないけどね!)
そして 壇上では
「ぼくたちより 一足早く卒業してしまった
カルメンが作った歌詞」と シュロモが紹介するその歌は、
2人で作った「Bring On Tomorrow」
光、夢、希望、明日を まっすぐ歌う 彼ら。
そんなきらめく歌詞の中に カルメンがいない。
「この中で有名になれる子なんて 一握り。
だから 社会に出ても 大丈夫なようにしてあげたい」という先生の老婆心とは 裏腹に
彼らは 無名の彼らは
自分を信じて まっすぐに歌っていた。
卒業帽とマントを誇らしげにまとって!
・・・あっ 留年を自主的に決めた
タイロンは ヒップホップな私服、
それにつられて みんな 脱いじゃってた
けどね。。
ああ、若い彼らから キラキラとしたものが降って来る。
わたくしはそれを 客席から浴びる。
皆が舞台から去ったあとは
生バンドの
「FAME(Remember My Name)」
の インストゥルメンタルで 余韻を楽しみ ミュージカルを染み込ませる。
同時に カルメンを思い出すこの曲のタイトルの意味も 心に沁み込んでくる。
わたくしのような 42歳の人間は
こういった 全力で頑張る若いエネルギーに触れるだけで 生きる力を得ちゃうのだけれど
(案内や もぎりや 客出しまで 礼儀正しく まっすぐ全力で 夢いっぱい 元気いっぱい!)
それって 中年の「感動したいエゴ」に聞こえるかもしれない。
だけどきっと、舞台に立つ彼らも、同じだと思うのです。
「お客さんを笑顔にしたい」
その笑顔や拍手から 力をもらうかもしれない。
だって客がそこにいなかったら、それは「稽古」であって「演劇」ではないのだから。
そうやって わたくしたちは
楽しい共犯者となるのだということを
もう知っているのかもしれないね。
「観に来てくれて ありがとうございます!」
と 出てくるお客さんみんなに 笑顔いっぱいの お見送りをしていました!!
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